現在、町村農場には道内外に7カ所の「町村農場」があります。町村農場の牛乳をいろいろなカタチで表現し、その美味しさを多くの人に伝えたい。店舗でしか提供できない鮮度やメニューで町村農場を知っていただきたい。そんな思いが、町村農場直営のお店として実を結びました。直営店舗を始めたのは今から10数年前。当時、牛乳の消費が伸び悩む中で自社の商品をどう広げてどう販売していくかということは大きな課題でした。ちょうどそんな時に地元江別の中心部にある総合スーパーから「町村農場」としての出店の依頼が舞い込みました。初めての自社プランドでの店舗の話でしたが、江別の農業地域で営んでいた農場の取組みを街の人に知っていただく良い機会と考え、熟考の末に出店を決めたのです。
オープン後は、社長自ら「昼は農場、夕方以降は店舗」というハードな勤務をこなし、試行錯誤をくり返しながら町村農場独自の店舗運営のノウハウを蓄積しました。地元の酪農学園大学のアルバイトスタッフには大いに力になってもらいました。今も、多くの学生やOBが農場のお手伝いをしてくれています。
店舗運営が軌道に乗り始めたのは札幌の「藻岩店」の開業がきっかけでした。藻岩は、町村農場ととても縁のある地区です。北海道農業の貢献 者エドウィン・ダンが明治期に初代場長を勤めた官営農場のあった真駒内は藻岩に隣接し、町村農場の創業者・敬貴の父がその官営農場に勤めていた関係で、敬貴は藻岩山の麓で少年時代を過ごしました。その地に作ったお店が、その後の店舗展開に大きな道筋をつけたというのはまさに運命的な巡り合わせだったのでしょう。
直営店舗で提供されるメニューは、町村農場産の「生乳」から作られるバラエティ豊かな乳製品 たちを中心に構成されます。メニュー開発の際には「素材の良さをいかに伝えるか」という共通の考え方が共有され、結果余計なものが削ぎ落とされたシンプルなレシピに落ち着きます。そのせいか、毎日来店されるお客様もたくさんいます。
牛飼いの現場、乳製品製造の現場、そして販売の現場。町村農場は生産から販売まで、高品質の生乳を作りだすところから、その生乳が数々の美味しい乳製品となってお客様の口に入る最後までを見届けます。創業者である敬貴の「どんなところでも学ぶ機会にする」という言葉を胸に、町村農場のスタッフは、製造の現場と販売の現場を横断しながら、より深い経験を積み重町村人に育っていきます。